栽培の流れ |
トン打ち直後の水なすの花びら (青いのは食紅) |
○ビニールハウス(加温)栽培での水なすの出荷は11月頃〜6月頃です。
○ビニールハウス(無加温)栽培での水なすの出荷は3月頃〜8月頃です。
○露地栽培では6月〜11月頃出荷されるので、今ではほぼ一年中食すことができます。
また割合としてはビニールハウス(無加温)栽培が最も多く、次いで露地栽培、ビニールハウス(加温)栽培の順となります。ビニールハウス(加温)栽培は温暖で育つ水なすを温めるため、設備投資、油代などの生産コストがかかり、また夏場に比べ需要も少ないため生産者が少なく、水なす生産者の全体の割合は5%未満と大変少なくなります。 露地栽培はハウス栽培に比べ、野外での栽培となるため雨風などの影響を受けるのでキズがつきやすいです。ナス紺色が濃く、種が多く、また皮がやや厚いのが特徴です。ただし露地物はハウス物に比べると、やや甘味に勝ると言う方もいらっしゃいます。
ちなみになす伝では、水なすを全てビニールハウス(無加温)栽培で行なっております。したがいまして当稿では、主としてこの栽培方法を前提に記載させて頂きます。他の栽培方法を行なっているか、またお考えの方は、その点をどうぞご留意下さい。
収穫したばかりの水ナスはトゲが立っていて慣れた私たちでも指に刺さります。
最盛期には、朝4時から収穫作業が始まり、その日の朝に選別し出荷します。それ以外は、葉の剪定、受粉作業など、栽培の手間がとても掛かる野菜です。
意外と暑さにも弱い水なす
熱帯地方原産の野菜だけに、水なすは寒さに弱いです。逆に夏場の暑さも限度を超えると木が疲れてしまい、水なすも弱ってしまいます。水なすは、意外と暑さにも弱いのです。水なすのお漬物がお中元などの贈答品として需要が増える7、8月は、水なす出荷の最盛期であり、一日の収穫量はそれまでと比べ数倍になります。真夏のビニールハウス内の温度は40℃近くに達することも珍しくありません。湿度も高く、体を使う作業なので体感温度はゆうに50℃近くはあるでしょう。そのため、一旦ハウスから外に出ると真夏なのに涼しく感じます。
このように人も体力的に過酷な夏の農作業ですが、水なすも暑さと闘っています。気温が高くなり太陽が照りつける夏場になると、水なすも生育状況が急に悪くなります。
このような環境下に耐えられなくなった水なすの一部は、見た目はツヤがなく、炭のようなくすんだ色になります。症状が進むと皮が硬くなり、水なすの水分量も減るので果肉がパサパサしてしまいます。出来る限りこのようにならないよう温度管理や水やりなどに気をつかいます。しかし一旦品質の低下してしまった水なすはランクが落ち、加熱しない漬物には向かなくなってしまいます。
水なすの選別は厳しい
出荷時には形、艶、重量(水分)などを見て品質のランクが分けられます。実際にはA級、B級、C級、D級、規格外の5種類に細かく選別していきます。選別した中から質・見た目の良いA級品と、見た目が少し劣るB級品の一部が主に漬物屋さんへ出荷されます。 一般的には傷が付いたり形の悪いものはランクが低いのですが、ポリフェノールなどの栄養価は傷が付いた水なすの方が高いことが分かってきています。そのため、最近はC級品以下の水なすも以前に比べると商品価値が見直されつつあります。 水なすの選別風景:JAいずみの様の資料より |
圃場の準備
土壌の消毒と土作り
これは前シーズンの終わった後すぐの8月から遅くとも9月中には終えていなければならない作業ですが、土壌の消毒をおこないます。残さを取り除いた後に、次の手順でおこないます。
@残さを取り除く
A粗起しをおこなう
・前年の畝を崩し、土を柔らかく耕します
・石灰窒素100〜150g/1uをまんべんなく撒きます
・切り藁2〜3s/1uを入れます
B水を張ります。水田のように水を溜められれば理想的ですが、できなければ出来るけ沢山の水を撒きます。このとき石灰窒素と水が反応して有毒なガスが発生しますので、ハウス内の換気に特に気をつけて下さい。
C残ビニール(透明)で土の表面全体を覆います(マルチング)。ハウスを閉めきり、晴天の日を前提に最低で2週間ぐらい放置します。太陽熱による地温の上昇でカビや細菌の密度が低下します。また土中の害虫の卵なども消滅します。
Dビニールを除去して乾燥させた後、耕し、畝立てをおこないます。この過程で元肥を混ぜ込みますが、その量は前シーズンの特に終盤の水なすの株の状態や収獲状況などを勘案して決めます。いずれにしても元肥は控え目に施します。なす伝でも、土作りは前述した切り藁の投入を中心に考えています。藁は「これでもか・・・」と思うぐらい大量に混ぜ込み、土をフカフカにします。なす伝では8:8:8の配合肥料を、長さ30mのハウス1棟当たり15kg程度しか撒きません。
トラクターで粗起しをおこないます。狭いハウス内なので、熟練が必要です。
接木苗 |
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完全に活着し、成長点部の葉が展開し始めたら、整枝や枝の誘引を行います。水なすはトマトと同様に各節の脇芽がよく伸びて、放任するとすぐに枝が込み合って日当りが悪くなり、互いの枝が伸びにくくなったりするので、早めに整枝を行います。 また、主枝を中心に伸ばしていく枝を常に斜め上方向に誘引しておかないと草勢が弱くなってしまいます。果実の重みで枝が垂れ下がると、その枝は勢いが弱くなって伸びにくくなり、脇芽も出にくくなります。 水なすは2葉ごとに花が付きますが、枝が伸びにくくなると葉も花も付きません。ですから、日当りを良くし、新しい枝を勢いよく伸ばすためには、伸ばす主枝は3〜4本に制限し、斜め上方に誘引することが重要なのです。 水なすの主枝を誘引する方法にはいくつかあります。露地栽培では主枝に添って支柱を斜めに立てる方法と、支柱を株元や畝の両側に立て紐で枝の先を結束して誘引する方法などです。またハウス栽培では、横は肩から肩にパイプを設置し、縦は妻面から妻面までワイヤロープを張り、このロープに紐で各枝を結んで誘引する方法です。 |
水なすの主枝の誘引のポイントは、主枝どうしに勝ち負けが起こらないようにすることです。主枝の勢いは、本来の主枝(主幹)が一番強く、次に1番花の直下の主枝、次にその下の主枝と、1番花の上の主枝の順です。 水なすの仕立てでは、普通「3本仕立て」か「4本仕立て」のどちらかにします。双方で収量にそれ程差が出るわけではないようです。なす伝でも年によって自由に選んでいます。ただし、3本仕立ての場合には株間を55cmにし、4本仕立ての場合には株間を60cmにするなど、細かな調整は行なっています。 3本仕立てか、4本仕立てか 水なすの3本仕立ては、主枝と、主枝の1番花の下の脇芽2本を伸ばして3本の主枝とする場合と、主枝と、主枝の1番花直下と直上の脇芽を伸ばして3本の主枝とする場合があります。どちらにするかは、株ごとに伸びる枝の太さや勢いなどを見て都度判断します。 水なすの4本仕立ても色々あります。オーソドックスなのは、主枝と、主枝の1番花の下の脇芽2本、さらに1番花の直上の脇芽の計4本を伸ばす方法です。 3本仕立てでも、4本仕立てでも、伸ばす主枝から下の脇芽は、活着後できるだけ早めに摘みとっておきます。脇芽摘みが遅れると、伸ばす枝の伸長を妨げたり、株元の日当りや風通しが悪くなります。 特に接木苗では、台木の脇芽が発生したら早めに摘み取っておかないと、穂木の生長が妨げられるので注意します。また脇芽を摘み取った株元のは葉は、1番果の収獲時に摘み取って、株元の風通しを良くします。 |
水なすの3本仕立て |
水なすの4本仕立て |
1番花の摘花 やむなく貧弱な苗を植えたり、植え付け後の生長が思わしくなく、1番花が貧弱な時は、1番花を早めに摘花した方が、その後の生育も収量も多くなります。水なすだけではなく、どんな植物でも、葉や根よりも結実した果実に優先的に養分を送るため、草勢が弱い状態で果実をならすとますます弱くなってしまいます。 水なすは、草勢さえ強ければ、2葉ごとに花を付けるので、摘花しても多少収獲時期が遅くなるだけです。トマトは第1花房を着果させないと暴れてしまう心配がありますが、水なすはその心配がほとんどありません。 ホルモン処理・トン打ち ホルモン処理は「トマトトーン」と言う商品を使って行なうので、通称「トン打ち」と呼ばれます。トン打ちは露地栽培では不要ですが、トンネル栽培では必須です。特にナスは35℃以上の高温や15℃以下の低温になると、花芽の分化や発育に障害が出て、開花しても落花したり、肥大も悪くなります。 水なすの栽培で、生育初期が低温になった時には、初期の花にトマトトーンの50倍液を開花時にスプレーで散布しておくと確実に着果し、順調に肥大が進みます。また早植えでトンネルをかけたときは、初期の花にはホルモン処理をしないと低温のため受精せず、「石なす」になる危険性があります。その他にもトン打ちの効果として、皮がより薄く柔らかくなること、種が少なくなること、収獲時期が短縮されること、などが挙げられています。いずれにしても、水なすのハウス栽培では、ホルモン処理は栽培の終始において必須です。 なお、ホルモン剤は開花した花だけに散布し、蕾や新芽にはかからないようにおこないます。また一度散布した花には、その後重ねて散布しないように留意します。2度トン打ちしてしまった花からは奇形果が育つ可能性が濃くなります。そのためホルモン剤を希薄する際に、緑や赤の食紅を混ぜます。散布済みの花であることを分るようにするためです。泉州地方の水なす農家の方々の手のひらは、真っ青や真っ赤に染まっていることが多いのですぐにわかります。(無害でお風呂に入れば取れるので心配はありません)。 |
基本 水ナスの栽培ほど水やりの難しい作物はないです。その名の通り、水ナスの果実は緻密で水分を多く含んでいます。そのため、水やりは晴天の日は何も考えずに毎日やり続ければいいように思われがちです。しかしそれでは根は張らず、水ナスの収量は落ちてしまいます。特に、定植から間もない期間に水を過剰に与えすぎると、その水なすはいわゆる「いじけ易い」木になってしまいます。そのため、その個体は、少し太陽が当たり過ぎただけで、水切れをおこす、根性の無い水ナスになってしまいます。個々の苗毎に水やりを行えるなら、それでもよいのですが、ハウス栽培などとなると、一度に、何百もの苗に潅水チューブで潅水を行いますので、いちいちいじけた苗にかまってやれません。だから、水なすと言えど、基本は、やや乾かしぎみに、乾く一歩手前で十分に潅水してやることです。こうしたことで、根をいっぱいに張らせます。これが結構、難しい。水ナスの水やりは、3年どころか、10年はかかって一人前になれる、と言う方もいらっしゃいます。 植え付け後の水のやり過ぎに注意 植え付けが終わったら、十分に潅水して株元の土を落ち着かせます。根鉢を崩さないように植えると、3〜4日で活着し、しおれなくなります。その間は1日1回早朝の温度が上がり始めた時間帯に潅水が必要です。それでも日中にしおれてくる株がありますので、見つけたらその株だけにジョウロで少しだけ水をあげます(夜間にはまた乾く位の極少量))。ここで注意することは、一部の株がしおれてきたからといって、決して全体に潅水はしないことです。植え付け後、活着を促がすための潅水は、晴天続きの時でも通常1日1回で問題ありません。むしろこの時期に手軽に水やりできるので、つい水をやり過ぎてかえって活着や新根の成長を妨げてしまうことがあります。 活着すると成長点のある先端部の葉色が淡くなって伸び始めるのですぐ解かります。以降は水遣りの間隔を次第に広げ、土が乾きかけたら潅水するといった管理をします。乾き気味にした方が、根は水を求めてよく伸びます。日中に外葉が少ししおれても芯葉がしっかりとしていて、夕方にしおれた葉がピンとしてくれば、慌てて潅水の必要はありません。 春の水やり 実際の水なすの春の潅水は、基本は土の表面が乾き始めた頃を見計らってということです。土の湿り具合を確かめるには、所々のマルチを捲ってみて、指先を触れ確かめてみるのが基本です。それで乾き始めていたら、朝の気温が上昇し始めるころに全株一斉に潅水します。またそれでも迷う場合があれば、写真にあるような「土壌水分計」を用いて、10〜15cmくらいの深さのところの乾き具合を確かめることもあります。実際には、根が活着してからの冬の間や、春の間は、3〜4日に1回位の水やりになります。 |
肥料不足 | 肥料過多 |
【花を見る】 ○花びら中央の雌しべが、周りの雄しべより短い。もしくは両方がほとんど同じ長さ。 ○花びらが平均して小さく、色が淡い。 ○花は咲くが、最盛期にもかかわらず開花すべき蕾があまりついていない。 |
【花を見る】 ○花びら中央の雌しべが、周りの雄しべよりかなり長く突出している。(雌しべが少しでも出ている状態であれば、少なくとも肥料は足りている) ○花びらが平均して大きく、色が濃い。 ○シーズンの終盤であるにも関わらず、花がやたらと多く咲く。かつ花は咲くものの着果不良を起す場合。(肥料過多で、枝が伸びるけれど、花付きが悪くなる場合があるので、見分けが必要) ○蕾が横に広い形をしていたり、茎が何本かくっ付いたように広がった状態にある(帯化)。 |
【葉を見る】 (葉の色) ○下の方から順番に色が薄くなってくる⇒窒素不足の可能性 ○下から色が薄くなり、生長が悪くなる⇒リン酸不足の可能性 ○葉脈だけが緑色に残り、他が黄色く変色⇒マグネシュウム不足の可能性 ○新芽部分の葉が、葉脈も全て黄色くなる⇒鉄分不足の可能性 (葉の大きさ) ○葉が平均して小さい。 (花の状態も合わせて判断が必要) |
【葉を見る】 (葉の色) ○新芽の部分は、紫色が濃く出る場合が多いが、それ以外の葉が極端に濃くなっている。⇒肥料、特に窒素過多の可能性 ○土の肥料濃度が高くなり、根が傷んだため葉が付け根の部分から褐変している(肥料焼け)。 ○葉脈の間がまばらに黄色く変色し、葉の表面が少し縮れたようになる。⇒りん酸過多の可能性 ○葉脈の間に、茶色の斑点が出ている。⇒マグネシウムやマンガン過多の可能性 (葉が内側に巻く) ○特に生長点に近い部分の葉で起こる症状で、内側に巻くのは肥料が効きすぎているサインです。 (葉の大きさ) ○葉が平均して大きすぎ、混み合っている。 |
【枝を見る】 ○開花中の花から生長点までの長さが、平均値である20〜25cmに比べ極端に短く、枝を伸ばす力が弱くなっている。 |
【枝を見る】 ○開花中の花から生長点までの長さが、平均値である20〜25cmに比べ極端に長く、枝を伸ばす力が強くなりすぎているため、花付が悪くなっている。 |
主に高温多湿期に育てる水なすは、露地栽培、ハウス栽培のどちらであっても、無農薬で栽培するのは無理です。しかし減農薬で栽培することは十分可能です。減農薬のポイントは、あくまで早期予防と対策を行なうことに他なりません。早期予防をおこなうには、まず水なすの栽培と切り離せない病害虫について普段から理解を高めておくことです。その上で、少しでも病害虫の発生を発見したら、薬剤処理をおこなうことです。結果として、そのような対策が減農薬栽培に直結します。 なす伝の行なっている無加温ハウス栽培では、毎年悩まされる病害虫として、ダニ、コナジラミ、アザミウマ、アブラムシ、うどんこ病、ススカビ病、などがあげられます。それらについて、発生原因や対策について述べたいと思います。 |
対策と防除
まず、アブラムシの付いた苗の定植は、極力避けることです。それでも定植時の対策として、水なす苗の植穴にオルトランやアドマイヤーなどの粒剤をごく少量混ぜ込んでおくことです。量としましては各小スプーンに1杯程度で十分です。露地栽培では、有翅虫としての侵入を防ぐため、風上に防風ネットなどで作物に寄せ付けないようにします。また、アブラムシを圃場で見つけた場合は、シルバーマルチや白マルチなどで被害株近くをマルチングすることも有効です。
薬剤防除する場合は、薬剤の抵抗性ができるのを避けるため、同じ系統薬剤の連用を避けます。なす伝では、主薬剤としてアドマイヤーを用い、それにアブラムシへの効能がある薬剤を都度選んで、交互に散布する体制を採っています。
根部に寄生して吸汁するアブラムシもいます。オカボノアカアブラムシです。寄生範囲は地際から深さ約15cmまでの根部で、通気性の良い圃場で発生します。大繁殖すると、葉が黄色くなり、樹勢の低下、萎凋など株に影響がでます。対策としては、
定植前のハウス内の熱殺菌を十分に行なっておく事。植付前に寄主植物のイネ科雑草等を除去することと、定植時の持ち込みに注意します。
水ナスに寄生するダニ類にはハダニ類とチャホコリダニに大別されます。
■ハダニ類
対策と防除
発生源は主に圃場内外の雑草が多く、雑草を除去します。被害苗を圃場に持ち込まないようにします。梅雨明け以降に被害が出やすいので、下葉を剪定して風通りを良くし、草勢維持も大切です。
発生初期の防除が第一なので心がけてください。同一薬剤や同一系統の薬剤の連用は避けます。栽培終了後に病害虫防除を兼ねて太陽熱殺菌処理を行います。
メスは卵を葉や幼果などに1個ずつ産みつけます。孵化した幼虫は、葉や果実等で吸汁加害します。蛹の時期近くになると幼虫は移動し、土中などで前蛹になります。前蛹から蛹期は食害や移動はほとんどしません。 成虫になるとミナミキイロアザミウマは再び葉や果実に寄生し今度は食害します。 |
対策と防除
水なすなどは寄主植物の範囲が広いので、圃場周辺の雑草をこまめに除去します。また畦にシルバーマルチを被せ、飛来と蛹化の防止策とします。
発生圃場では栽培終了後に必ず太陽熱の熱殺菌処理をし、外への拡散防止に努めます。
なお、多発後の薬剤防除は効果が少ないので、発生初期の防除に努めます。
コナジラミ類による主な被害は、成・幼虫の吸汁加害による生育抑制と、排泄物に発生するすす病による汚れ、およびそれに伴う同化作用の阻害などです。 露地での発生は少なく、施設栽培で多く発生します。。オンシツコナジラミは野外で越冬できますが、タバココナジラミは野外で越冬できず、施設が主たる越冬場所と考えられます。。発生は、主に苗による持ち込みと野外からの成虫飛び込みから始まります。通常、気温が高くなる3月以降多くなりますが、加温施設では冬季でも増殖が激しく、多発することがあります。産卵は主に葉裏に行います。孵化幼虫は歩行するが、間もなく固着生活に入り、4齢を経て成虫になります。成虫は上位葉に移動し、吸汁加害します。25℃で卵から成虫になるまでの期間は、両種ともほぼ同じで約23日である。成虫は黄色によく誘引され、黄色粘着板で発生状況を把握できます。 |
対策と防除
換気窓への防虫ネット被覆や、UVカットフィルムの展張は成虫の侵入防止に有効です。天敵のオンシツツヤコバチ、サバクツヤコバチ、スワルスキー等が有効と言われています。発生が多い時は薬剤による防除が必要です。
すすかび病は、初期の頃であれば、葉の裏側に白っぽいカビが集まって病斑ができます。この病斑が真ん中から徐々に灰褐色に変わっていき、最終的にはすすで覆われたようになってしまいます。ナスの葉の表側では、裏側の病斑ができている部分が、黄色っぽい褐色の斑点ができます。症状が広がると、葉全体が黄色く退色してしまい、最終的には落葉します。 |
対策と防除
すすかび病は、高温多湿になると起きやすい病気です。ハウスなどでは年中起きる病気のため、予防が欠かせません。できるだけ換気をして湿度と温度を下げるよう努めます。春になって気温が上がり始める頃から出る病気のため、換気とあわせて薬剤による予防も有効です。
うどんこ病の症状は主にナスの葉に現れます。はじめは葉の表面のところどころに白いカビが発生します。症状が進むと、だんだんと白いカビが範囲を広げ、葉の表面だけでなく、裏側もうどんこをふったように白くなっていきます。症状がひどくなってくると、カビは白から灰色っぽく変化し、葉も色も抜けて黄色くなります。 その後、ナスの葉全体が黄色くなり落ちてしまいます。症状は下葉から上に向かって広がっていきます。進行すると葉だけでなく、葉柄や実のヘタ部分にもカビが広がります。 |
対策と防除
日照不足や風通しの悪さ、過乾燥などが原因で起こりやすくなります。うどんこ病のごく初期の場合であれば、被害の出ている葉を摘むだけで症状がおさまることがあります。
うどんこ病の症状が出る前に薬剤で予防するのも効果的です。発生してしまった場合には、専用の薬剤で治療します。
早めの収獲 水なすは花芽分化後約30日で開花し、開花後20日前後で収獲になります。前半は果実を肥大させる株の負担が大きくなるので、枝の先端部の観察によって、弱りそうな時には早めに60グラム程度の果実 で若採りするするのが、後半の成疲れを防ぐコツです。 |
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枝透かし、摘葉・摘芯で日当りを維持する
梅雨明け後に草勢が弱くなり落花が増えるのは、子枝や孫枝が混み合ってきて日当り・風通しが悪くなるからです。この梅雨明け頃から収獲時の、子枝や孫枝の切り切り戻し、日当りが悪く弱いふところ枝の間引き、古葉(ふところ葉の付け根の葉)の摘葉、垂れた主枝の再誘引作業、などが重要になってきます。また、主枝も太くて勢いのある側枝が伸びてくるよう、草勢が弱ってきたり支柱の高さまで伸びたら、摘芯します。
ただし一般に、80〜90gの水なすを開花後23〜25日で収獲するには、1つの果実あたり少なくとも5〜6枚の葉が必要であると言われています。あまり1度に沢山の枝を間引いたり、葉を摘み取ると、ますます脇芽の勢いや果実の肥大が悪くなってしまいます。収獲時に側枝の切り戻し、古葉の摘葉などを適宜続けていれば、それほど混み合うところはありません。
果実に葉が触れている。すぐに摘葉が必要 |
逐次摘枝や摘葉を行なっており、どの果実にも葉が触れていない。 |